「ふぅっ、ふぅっ、ふぅっ、ふぅっ……」
「良い見た目になってきたじゃねぇか。」

〈募集要項〉
短期バイト(1週間)
報酬10万円。
飛行機に乗って海外へ品物を運搬。
資格不要、手ぶらでOK!
(旅費、パスポートは全てこちらで用意します。)
人気のお仕事ですので早い者勝ちです!
何の取り柄のない貧乏な私には救いに見えた。
シュコ、シュコ、シュコ、シュコ・・・
「ふぅっ、うっ、うぅぅっ!!」
男がポンプを操作するとお腹の中で風船が膨らんでいく。
く、苦し…ぃ……や、めて……っ!!
風船に押されて胃袋が肥大化。
ポコッ飛び出たお腹の中で内臓が強く圧迫され腸が捩じれていく。
痛い。
苦しい。
誰か…助けて……
「おい、ブツを持って来い。」
「うぃっす。」
若い男がビニールに包まれた白い小包を沢山持ってきました。
プシュッ!!!!
男がポンプを外すとチューブから空気が抜ける音が響く。
ーーシュウゥッ……
しかし、すぐに男の手でチューブの口が塞がれた。
お腹は膨らんだまま。
身体が震え、額から汗がぽたぽたと滴り落ちる。
男が白い小包をひとつ手に取った。
「うっ…っ!?うぅっ!!」
そのまま、小包をチューブの中に押し込んでいく。
柔らかい素材で出来たチューブは少し大きな小包を難なく飲み込む。
チューブの出口は私の胃袋にある風船の中。
重い小包がボトッ、ボトッと私の胃の中に落ちて行く。
「うぐぅっ!!ううぅぅっ!!」
ボコッと、お腹が更に迫り出す。
ゴツゴツとした異物で膨れた胃がキリキリと激しく痛む。
も、もう無理…っ!!
しかし、まだテーブルの小包は半分も減っていない。
「力を抜け。胃が爆ぜるぞ。」
「ふ…っ!?うぅ…!!」
無理に動くなと本能が叫ぶ。
背中を弓のように逸らしてお腹を突き出すと少し息が楽になった。
「そうそう、自分で何とかするんだ。」
男はそう言うと小包をチューブに入れて行く。
お腹がまた少し重くなる。
ベチッベチッ!!!
男が私のお腹を平手で叩く。
小包でいっぱいの私のお腹は余り音が響かない。
ズルッ!!ズルルッ…スポンッ!!
男が私の口からホースを抜いた。
「げほっあがぁ!!く…苦し……っ!!」
喉の奥に残る異物感。
小包で膨れ上がったお腹のせいで呼吸すらまとも出来ない。
「この風船はX線に胎児のような影を映す。だから保安検査に引っかからない。」
「え…?」
言っている意味が分からない。
まだ、テーブルには白い小包が残っていた。
それを先ほどの若い男が細い長い茶色の筒にせっせと入れている。
ヌプッ
「うっ!?」
今度はお尻に長いチューブが挿入された。
コツコツと腸の曲がり角でぶつかりながらまた異物が押し込まれていく。
全て入れ終えた男はその先端に空気ボンベを装着した。
ま、まさか……っ!?
いやぁっ!!
シューーーーーー!!!!
「うっあああぁぁ!?」
腸内でチューブが膨らむ。
腹圧が急激に上昇しお腹がグググッと迫り上がる。

「う゛っ…げぇっ…‥!!」
息が詰まる。
喉奥から何か込み上げるが口まで出てこない。
男は空気ボンベを外すと細い長い茶色の筒を手に取った。
ヌチッ…グググッ……
「ひっ…あ、あがあぁっ!!」
茶色い筒がゆっくりとチューブの中へ押し込まれていく。
お腹に力を入れて必死に抵抗する。
ズブゥッ!!!
「い゛っ!?ひぐっ!!」
茶色い筒の先端がいとも簡単に体内へ入り込む。
直腸を超え、大腸へと入り込んでいく。
腸の中を這う茶色い筒がお腹の表面に浮き上がり不気味にうねる。
ゴリッ…ゴリゴリッ……
腸の折れ曲がった箇所で筒が引っ掛かった。
男は力づくで筒を押し込む。
「何とかしろ腸に穴が開くぞ。」
「ひぃっ!?あぐっ…うぅっ!!」
両手でお腹を抑えつけ必死に身体を捩る。
お腹が更に迫り上がる。
この手が離れたら身体は弾けて大事なものが全て出てしまう。
ズルズルズルッ!!!
「うっ!?がああぁぁっ!!」
「よし、全部入ったな。」
「はっ、はひゅっ…はぁっ、はぁっ……」
は、爆ぜ…
か、身体…裂け…る…っ……
「すぐ慣れる。女は子供を孕むから腹が膨れやすい。」
男はそう言うと私のお腹を優しくなでた。
「これに着替えろ。」
ゆったりとしたピンク色のワンピース。
どうやら妊婦が着るマタニティウェアのようだ。
「今からお前は妊婦に変装して飛行機に乗ってもらう。」
「…え…?」
目の前にパスポートと航空券が差し出された。
パスポートには私の顔写真と別の人の名前が書いてある。
「いいか?お前の体内のブツは命がいくつあって足りないほどの価値がある。」
「………………」
「それをここまで運ぶのが、お前の仕事だ」
手渡されたスマホの画面には地図アプリが開かれていた。
赤いピンが目的地を示している。
「何度も言うが……」
グッ!!!!
「うげぇっ!?」

「お前の腹が破れようが関係ない。必ずブツを届けるんだ。」
