奴隷タンク(第2章)
<プロフィール①>
〇名前:リナ・グラセル(本作主人公)
〇体格:151cm/40kg/B77・W51・H79
〇最大容量:4.5リットル
〇役割:???
<序章:素養>
「はっ、はっ、はっ……」
細切れな呼吸を何度も繰り返す。
肺の奥まで空気が入らない。
たくさん吸い込もうとするほど、更に苦しくなる。
お腹が今にも張り裂けそう。

「リ…ナ…リナ…ァ……」
頭の中で、私の代わりに破裂したセリナの亡霊が何度も囁く。
セリナが私を地獄へ引きずり込もうとしている。
「ごめんなさい…ごめんなさい…もうやめて…セリナ……」
誰にも届かない謝罪がぽつぽつと漏れる。
しかし、どれだけ謝っても、この思いはもうセリナに届かない。
役に立たない私がどうして生き残ってるの?
答えの出ない問いがいつまでも頭の中をぐるぐると回る。
薄暗い窓のない部屋。
昼も夜も分からず、どれだけの間、こうしているのかも分からない。
終わりの見えない、苦痛が永遠に続く。
バタンッ!!!
部屋にある唯一の扉が乱暴に開いた。
扉の向こうは明るく、朝の日差しが差し込んでいる。
太陽を背に、ご主人様が怖い顔で私を睨んでいた。
い、いや…こわい、お願い…もうやめて…っ!
「今日は10リットル詰め込むまで終わらねぇから覚悟しろ!!」
ドクッドクッドクッ…
ご主人様が上空の樽に容赦なく冷たい水を流し込む。
樽から伸びたホースは私のお尻に刺さったまま。
高い場所から落ちる水は冷たくて重い塊になって、無理やり私の身体に入り込んでくる。
「やめてぇ!やめてえええっ!!あ゛あ゛あ゛ぁ゛!!」

ギュルッ!!!ゴボッゴボボッ!!!
お腹の奥から、今まで聞いたこともない濁った音が響く。
内臓が悲鳴をあげながら圧力で捻じ曲げられていく感覚。
腸同士は擦れ合い裂けそうな激痛。
目の前にはチカチカと光が現れては消えていく。
もう限界なのに、水はどんどん入ってくるっ……
「うるせぇ!今日こそはメインタンクか破裂か選ばせてやる!!」
ドクッドクッドクッ…
ご主人様は樽を満杯まで注ぎ足して、更に高い場所へ持ち上げた。
今までにない高い圧力。
お腹が信じられないくらい膨張する。
「い゛き゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛っ゛!!」

自分でも、こんな大きな声が出るなんて思わなかった。
腸も胃もパンパン。
もう、お腹の中には1ミリだって隙間なんか残っていない。
もうダメ。
私ここで死ぬんだ。
皮膚が破れて、中身を全部吐き出して、みんなと同じようになって……
「チッ!なんでこれ以上入らねぇんだ、この不良品が!!」
それでも私は壊れなかった。
どうも、私のお腹はかなり頑丈みたい。
きっとお母さんやお父さんからからもらった“素養”なんだと思う。
だけど、それが幸せだったかどうか、今となっては分からない。
「…っ…っ………」

喉が潰れたみたいでもう声が出ない。
あ、もしかしたら息をしていないだけなのかも。
セリナ…お願い、もう連れてって……もう苦しいの…嫌だよ……
必死に祈った。
しかし、この地獄から解放されたのは日が暮れた後のことだった。
次の日、私は売りに出された。
すぐ買い手が現れたみたいで馬車に揺られて運ばれる。
どこへ行くのかも分からない。
しばらくして馬車が止まり、扉が開いた。
「ギャハハッ!!」
「今日は俺のオゴりだぁ!!」
目の前には、見覚えのない賑やかな場所。
「ここは…酒場…?」
