女性が過剰に増えた異世界。
食糧資源は枯渇し、各地で飢餓と暴動が相次いだ。
国王は王国存続のため、苦渋の”選別政策”を発令する。
人格排泄
それは死刑ではない。
ただ、自我の核を体外へ排泄させるだけ。
排泄の瞬間、慈悲として“最大の快感”が与えられる。
そして、その存在は静かに消える。
抜け殻となった身体は食料生産の労働機械として朽ち果てるまで酷使され続ける。
対象者は、ランダムに選ばれる。
王国はこの制度を、あくまで「本人の自由意思による選別」と称していた。
つまり、排泄の権利は“同意”によって与えられる。
執行には、特殊なスライムと大量の発泡剤が用いられる。
飲まされた囚人の腹部は、発泡ガスによって徐々に膨張していく。
だが、“栓”によって排泄は出来ない。
同意した者は、栓を外され、スライムと共に“人格”を排泄する。
その瞬間、慈悲として最大限の快感が与えられる。
拒み続けた者は、やがて腹が破れる。
数刻の間、神の慈悲が訪れるのを、ただ待ち続けることになる。
<対象者プロフィール(2人目)>
・名前:ルア=ノルト
・体重/スリーサイズ:50kg/B88・W58・H86
・職業:舞台の踊り子(地方劇団所属)

「ね、ねぇ……じょ、冗談だよね……?」
かすれ声が響く。
潤んだ紫の瞳が、目の前に執行官をスガるように見つめている。
舞台上で見せる彼女の得意な笑顔はここでは通用しない。
ゴロゴロ……ギュルルッ……
膨張を続ける腹の中で、スライムと発泡剤が蠢く。
拘束された四肢が痙攣する。
ルアの美しかったくびれが、ゆっくりと迫り上がる。

執行官が同意を求める。
「…や、やだ……いやっ! お腹……っ、くるしいの……っ!」
ルアが泣き叫ぶ。
その哀願に応じる者は誰もいない。
処置室に、泡の弾ける微かな音が響く。
発泡剤が静かに、ルアの腹をさらに大きく孕ませていく。
同意が得られないまま時間だけが経過する。
ミヂッ…ミヂッ……
「いっ……い゛っっ……ぁ……っ、や、やだああぁぁっ!!」
波打つ腹の下で、皮膚が悲鳴のように軋む。
限界が、訪れる。
ブヂィッ!!!!
「い゛た゛あ゛ぁ゛あ゛ぁ!!」

ルアの身体が激しく跳ね上がった。
処置台に設けられた廃液処理用の溝に赤い液体が流れていく。
「い゛た゛い゛っ……い゛た゛い゛ぃ゛っ!!」
ルアは首を何度も上下に振る。
激しい苦痛から逃れようと必死に“同意”の意志を示そうとしていた。
しかし、人格を排泄しないまま身体が壊れた者に、同意の資格は与えられない。
執行官がその場を離れていく。
ブヂィ!!!ブヂブヂィッ!!!!
「や゛だ゛……ま゛っ゛て゛……た゛す゛げ゛で゛……っ゛」

「う゛っ゛…う゛ぅ゛……っ……が、はっ……」
ルアは喉の奥からくぐもった悲鳴を絞り出した。
身体の奥ではまだ発泡が続いている。
泡に押され、裂けた腹部から、大切なものがぐずぐずとこぼれ落ちていく。
「や……だっ……だ゛ずげ゛っ……たずけ……てよぉ……っ!!」
助けを求め、必死に声を張り上げる。
引き裂かれた身体は、この国のどんな医療技術をもってしても、もう修復できない。
激しい痛みが波のように押し寄せ、拘束具に締めつけられた四肢が痙攣する。
「い゛た゛……ぃ゛っ……い゛や゛……く゛る゛し゛ぃ゛っ……!! け゛ほ゛っ…けほっ!!」
口元から血混じりの泡を噴き出した。
ヒューヒューと、痰の混じった呼吸が途切れながら漏れ続ける。
「な゛ん゛……て゛……わ゛…た゛し゛が……っ……!!」
焦点の定まらない瞳が、天井を彷徨う。
選ばれた理由も知らないまま。
ただ舞台の上で踊っていただけなのに。
なぜ、自分がこんな終わりを迎えなければならなかったのか。
「……こ゛わ゛い゛……し゛に゛た゛く゛、な゛い゛……っ」
ルアの声は、誰に届くこともなく処置室の壁に反響し続ける。
慈悲が訪れる、その時まで。

