この続き↓

「ひぃっ…うっ…」
きゅっと閉じた小さな肛門。
その奥には普段絶対見せない場所がちらりと見える。
やましい気持ちはない。
でも、初めて見るそれに心拍数がどんどん上がってしまう。

僕は小さく閉じた穴に指先をそっと挿入した。
「うっひっ…ひぐ…うぅっ……」
超小型ポンプが指先に触れる。
クチュッ…クチュッ…
「いぁっ…だ、め…やめ…て……」
何とかして出せないか爪で引っ搔くがポンプは更に奥へ逃げていく。
思わず力が入った。
グヂュッ!!
「いぐぅっ!?」
プシャァッ!!!
うわっ!!

天音の身体が急に跳ね上がり温かい水しぶきを散らした。
え、えっ…漏らした?
天音は顔を真っ赤にして、ぎゅっと目をつむっている。
「はぁー、はぁー、はひゅ…ひゅっ…ひゅっ…」
苦しそうな呼吸音が続く。
大きく上下する肩。
先ほどより肥大化した腹が肺を押し上げて圧迫している。
早く中のモノを出さないとっ!!
僕はもう一度、天音の小さな穴へ指を入れていく。
あ、あれ?
先ほどまでそこにあったポンプが無い。
しまった。
驚いた拍子に、天音の更に奥へ押し込んでしまったようだ。
腹を押せば出てくるかしれない。
けど……
「ひゅっ…ひゅっ…ひゅっ……」
だめだ。
天音の腹はタイヤみたいに固く膨れ上がっている。
このまま押したら本当に腹が引き裂けそうだ。
も、もうだめだ。
は、早く…早く救急車を呼ばないと!!
だけど、僕のスマホは壊れている。
あ、そうだ。
天音のスマホなら更衣室にあるはずだ。
プールサイドに天音を残して僕は女子更衣室へ駆け出した。
ガチャンッ!!!
ロッカーを開ける。
綺麗に畳まれた天音の制服の上にスマホがあった。
暗証番号は以前天音にこっそり教えて貰っているので知っている。
「はい、すぐに急行します・・・ブツンッ!!!」
到着まであと5分。
これで大丈夫。
僕は肩の力が抜けた。
天音のスマホを持ってゆっくりとプールサイドへ向かう。
ブシャッ!!!!
遠くで聞こえる破裂音。
僕の背中に冷たいものが走り血の気の引く。
ま、まさかっ!?
僕は急いでプールサイドへ向かった。

ブジュッ…グヂュゥッ…
「う゛…か゛…う゛ぅ゛……」
プールサイドに咲いた赤い花。
その中心には横たわった天音の姿。
急いで駆け寄る。
吐瀉物と排泄物が混ざった血生臭い異臭が鼻を突き刺す。
「い゛…あ゛…ぁ゛……」
天音は血に濡れた手を僕へ伸ばしてくる。
手は氷のように冷たい。
裂けて大きく開いた腹。
絡み合った腸が地面に落ち、湯気をあげている。
鳩尾の奥では風船のように膨れた胃袋が痙攣していた。
救急車が来るまで5分。
恐らくもうそのころには天音は・・・
思わず天音に抱き着く。
「た゛ん゛…し゛……か゛…あ゛……」
唇から泡混じりの血を垂らし必死に叫ぶ天音。
僕は天音の震える身体を強く抱きしめ続ける。
僕は天音に伝えたいことがあった。
しかし・・・
「く゛…ぅ゛……っ゛………」
天音が大量に吐血する。
そしてそっと目を閉じ身体から力が抜けた。
数週間後・・・
「あ、きたきた!」
お見舞いにきた僕を天音は笑顔で迎えてくれた。
救急車の中で息を吹き返した天音は自慢の体力でどんどん回復していく。
流石、プールで溺れても自力で水を吐き出し、生きのびただけのことはある。

「こんにちは!」
「この人が自慢の男子~?」
天音は病院できた友達とも仲良くやっているようだ。
みんな、あの超小型ポンプで怪我をした女の子達だと聞いている。
様子を見る限り天音と同じように腹が割れたんだろう。
みんな元気そうで、本当にほっとした。
僕は今度こそ、天音に想いを伝えようと思う。
また彼女が手の届かない場所へ行くその前に。
