昔、投稿したものをリメイクしました!!
続きは順次投稿します!!

昔、投稿したもの↓

<ルール>
参加者は20m間隔のラインを往復し音に合わせて走る。
音が鳴ったら即座に走り出し次の音までに反対側へ到達すること。
音の間隔は徐々に短くなりペースは上昇する。
100回到達するまで競技は終了しない。
音までに到達できなかった者は失格とする。
失格と判定されると体内の小型ボンベが自動的に作動する。


白線が引かれた床の上。
一列に各地から集められた選手が一列に並んでいる。
蒼白な顔でうつむく若い女性。
指先は小刻みに震え、唇はぎゅっと結んでいた。
隣同士で手を握り合う者もいれば、声を殺して涙ぐむ者もいる。
誰ひとり例外なく、不安と恐れに飲まれている。
ここで生き残る術は、ただ走ることだけ。
僕は少し高い場所にある客席から、その様子を見下ろしている。

【10秒前・・・】
広いアリーナに響く電子音声。
ピリッ緊張感が走る。
選手たち目が一気に進行方向を向く。

【5秒前、3、2、1・・・スタート】
合図の音と共に、一斉に駆けだした。
「いやいやいやあぁぁっ!!」
「助けてぇっ!!」
「絶対に生き残ってやるんだから!!」
【ド…レ…ミ…ファ…ソ…ラ…シ…ド…】
【ド…シ…ラ…ソ…ファ…ミ…レ…ド……いち】
機械仕掛けのメロディーが淡々と続いていく。
少しずつ間隔が狭まる音。
音が鳴りやむまでに反対側まで到達できなかった者は、自動的に脱落していく。


回数表示のモニターが「72」を示した。
ここまで、誰一人として脱落者は出ていない。
息を切らしながら、それでも全員が必死に走り続けている。
【ド…レ…ミ…ファ…ソ…ラ…シ…ド…】
【ド…シ…ラ…ソ…ファ…ミ…レ…ド……ななじゅうに】
「はっ…はぁっ…っ、やだ…くそ…くそぉ…っ!!」

「ぎゃははっ!!乳振り回して走る女なんて初めて見たぜ!!」
観客席の一角で飛び交う下品な笑い声。
その声につられて、周囲も一緒になって騒ぎ立てている。
ひときわ目を引く、豊かな胸元を揺らして走る女性。
激しい動きにブラジャーが壊れ、そのまま胸をさらけ出しながら必死に足を前に運んでいる。
顔は汗と涙でぐしゃぐしゃ。
それでも彼女は決して止まらない。
どれだけ恥ずかしくても、彼女にそれ気にする余裕はない。
足を止めればそこで終わり。
【ド…レ…ミ…ファ…ソ…ラ…シ…ド…】
「ぐぁっ!?」

足がもつれ、女性が激しく転倒した。
身体が床に叩きつけられ鈍い音が響く。
すぐさま会場内に、プシュー!!!という乾いた音が響き渡る。
「はぁ…はっ…いぎ…! いぎぎぃっ!?」

体内の小型ボンベが作動し女性の腹がみるみるうちに膨らんでいく。
その様子に会場はさらにヒートアップする。
「ぎゃははっ!! 腹が膨れてきたぞ!!」
「やばっ、めっちゃお腹出てきた! すごーいww」
歓声や笑い声が次々と飛び交い、中にはスマホを向けて撮影する者までいる。
苦悶と恐怖でゆがむ彼女の顔。
その表情さえも観客は面白がっているようだ。
まだ彼女は呻いているがそれも今だけだろう。


【ド…レ…ミ…ファ…ソ…ラ…シ…ド…】
【ド…シ…ラ…ソ…ファ…ミ…レ…ド……ななじゅうろく】
「はっ…はぁ…っ…、っ、はひゅっ…、ひゅ…っ…」

すぐ隣を、顔を紅潮させ息も絶え絶えな女性が走り抜けていく。
焦点の合わない視線。
髪は汗で頬目元には生気がなくに張り付き、涙と混じって滴り落ちる。
表情は苦痛と絶望で歪み、口から荒い呼吸が漏れていた。
足取りはふらつきバランスを失った体が左右に揺れる。
「あははっww 次はあの子の番かぁ~ww かわいそぉ~~ww」
観客席から嘲笑が響く。
限界はすぐそこまで迫っている様子。
この状態で100回まで辿り着けるとは思えない。
【ド…レ…ミ…ファ…ソ…ラ…シ…ド…】
「ぁ……っ!!」

ズシャァ!!!
足がもつれてバランスを崩し、身体を勢いよく床に叩きつけた。
観客席から爆笑と歓声が巻き起こる。
「…っ、や…いや…たす、だれか…ぅ…うぁ……」
震える声がかすれて消え、次第に嗚咽交じりに変わっていく。
床の上で小さくうずくまり、目を大きく見開いて肩を震わせ始めた。
近づいてくる死神から逃げるように、爪で床を必死に引っ掻きながら這うように移動する。
「うわーwwwやったやったwww盛大にコケてんじゃんwww」
「マジでドンクサ~wwwはい、罰ゲーーームwww」

プシュー!!!
「はぁ…ぅ…あ…っ…く…っ… うぇっ… げぼっ!? げえぇぇっ!!」

まともに息も出来ないまま、喉奥から嘔吐物がこぼれる。
激しい運動で既に過呼吸気味だった胸が荒く波打つ中、腹は容赦なく膨らむ。
「ぎゃははっ!! デブってゲロって締まりの無ぇ肉袋だな!!」
「きゃははwwwねぇねぇ今どんな気持ち~www?」
歓声とも下品な野次を次々と飛ばす観客たち。
悲鳴も涙も、この場所ではただの娯楽に過ぎない。


【ド…レ…ミ…ファ…ソ…ラ…シ…ド…】
【ド…シ…ラ…ソ…ファ…ミ…レ…ド……はちじゅう】
「げほっ、がはっ…む゛り゛っ゛…だずげでぇ゛……」
ピンク髪の女性がふらふらとシャトルランの列から外れていく。
今にも崩れ落ちそうな足取りで、出入り口へ向かった。
「おねがいぃっ!!あけでぇ゛!!ここからだじでぇ゛もぉむりだよぉ゛!!」
かすかな希望にすがるように、扉を何度も叩く。
しかし、固く閉ざされた出入口の扉は微動だにしない。
プシュー!!!
「いやぁ、がぁっ…や゛め゛…おねがい゛っ゛!!」
必死な叫びに返事をしたのは、体内で作動した小型ボンベの乾いた音だけだった。

床に倒れ込み、急激に膨らむ腹部を両手で必死に抑え込む。
「ごえぇぇぇぇっ!!がはっ、がはぁぁっ!!」
喉奥から漏れる嗚咽と断末魔が会場に響く。
「あのバカ女逃げられると思ってんのかww!?」
「やっばwwwお腹の方が目立つとかマジかわいそぉ~wwwで、次はパ~ンでしょwww?」
その様子を見た観客たちは嘲笑と好奇心入り混じった声援を浴びせる。

3人目の絶叫と共に、会場全体には今まで以上の狂気じみた熱気と興奮、高揚感。
まさしく“祭”とも呼べる異様な盛り上がりを見せる。


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投稿者 40P

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